vol.01 セットバック

アプレイザーMの鑑定劇場 連載第1回目 セットバック

セットバック

「アプレイザーM」こと、むかえ不動産鑑定事務所 代表 不動産鑑定士の向永隆則(むかえ たかのり)に、舞い込んだ今回のテーマは、「セットバック」。

「セットバック」は、「戻す」「後戻り」「後退させる」といった意味です。

建築基準法では、幅が4m未満の道は、「道路」と認められていません。

ただ、建築基準法が制定された1950年以前から、幅4m未満の道路はありました。

そのため、4m未満の道でも、行政から指定を受けた場合には、「道路」とみなす例外規定が設けられました。

この道は、建築基準法42条2項で規定されているので、「二項道路」と呼ばれています。

二項道路には、制限があり、この道路に接している敷地に建物を建てる場合に、必要となるのが「セットバック」です。

セットバックを要する宅地の評価

建築基準法42条2項道路に接面する土地は、将来建物の建て替え等の際に、原則として道路中心線から2m離れた境界線まで後退(セットバック)して道路敷として提供しなければならないため、減価が生じることになります。

セットバックイメージ図

鑑定実務では、セットバック部分の価値については下記の根拠によりゼロと判定するのが一般的です。

  1. 現状では宅地利用されているとしても、本来道路として無償提供すべき土地であること
  2. 所有権を有していても、実際は建物建築や使用収益ができないこと
  3. 建ぺい率・容積率算定時にセットバック部分の面積は除外されること

評価

アプレイザーMローズイメージ

減価要因

セットバックを要する

(説明上、他の増減価要因はないものとします)

アプレイザーMローズイメージ

セットバック面積

セットバック面積計算式イメージ
アプレイザーMローズイメージ

評価額

セットバック評価額計算式2
 

ずばり!
セットバック部分の価値は、なし・ぜろ・なっしんぐ!
でも、、、、、、

セットバック部分は悲惨・・・

道路として無償で取られちゃいます。

当然、この部分には新しく建物は建てられません。

住宅用地は建物の敷地として利用されてナンボなのだ。

でもでも、セットバックにより道路が広がり街並みが整備された結果、土地価格がアップする可能性もある。

アプレイザーMの鑑定劇場 虫眼鏡イメージ