
みなさん、こんにちは。とん助手です!
7月に入り、いよいよ夏本番という暑さになってきましたね。不動産業界や私たち不動産鑑定事務所にとっても、7月は毎年ちょっとした「熱いイベント」から始まります。そうです、国税庁から発表される最新の「路線価」ですね!
ニュースなどでも「東京の路線価は平均9.4%上昇!」と大きく報じられていたので、目にした土地オーナー様も多いのではないでしょうか。「うちの土地の評価も上がっているのかな?」と、相続税や贈与税のことが少し頭をよぎる時期かもしれません。
ですが、この路線価、ただ「上がった」「下がった」という数字を見るだけでは、本当の街の姿は見えてこないのです。
そこで今回は、私たちが日々愛着を持って見つめている「旧3学区(中野区・杉並区・練馬区)」にスポットを当ててみましょう。同じ城西エリアで隣り合うこの3つの区ですが、最新の路線価と、直近の「住民基本台帳(実人口の動き)」を掛け合わせてみると、驚くほど面白い「三者三様」のリアルな地殻変動が見えてきますよ。
参考:今回注目する最新データ
| 指標データ | 概要・実際の数値 |
|---|---|
| 最新路線価(東京都平均) | +9.4% (強い上昇トレンドを維持) |
| 6月住基台帳(主な流出超過) | 新宿区:▲675人 / 豊島区:▲336人 |
| 6月住基台帳(主な流入超過) | 江東・足立・江戸川・大田区など(単月150〜200人規模の大きな増加) |
データ出典:国税庁「令和8年分 財産評価基準書」、東京都総務局統計部「住民基本台帳人口移動報告」
【中野区】路線価は大盛り上がり!でも、人口はマイナス…?
まず、JR中野駅前の大再開発でいま最も注目を集めている中野区です。今回の路線価でも、再開発への期待感を背景に非常に強い上昇を見せています。街が新しく生まれ変わるワクワク感に包まれていますよね。
ところが、直近の住民基本台帳のデータに目を移すと、ちょっと意外な事実が分かります。周辺の新宿区や豊島区と同様に、中野区でも一時的な動きとして人口の「押し出し現象」が見え隠れしているのです。
「地価が上がっているのに、人が減る可能性があるなんてどういうこと?」と思いますよね。
実はこれが、再開発の『光と影』なんです。駅周辺の古いアパートの建て替えなどが進む一方で、物価高や家賃高騰に耐えかねた単身者層や学生さんが、周辺のエリアへと押し出されている「過渡期」の痛みが、数字に現れているのだと思います。
【杉並区】ブランド力は健在、でもファミリー層に「変化」の兆し
続いて、成熟した邸宅街としてのブランドを誇る杉並区です。
路線価は高止まり、あるいは堅調な上昇を維持しており、その資産価値の高さはさすがの一言です。
しかし、こちらも住基台帳を細かく読み解くと、お隣の世田谷区と似たような動きが見え隠れしています。
それは、都心全体の高騰に引っ張られて杉並の家賃や物件価格も上がりすぎた結果、ターゲット層だったファミリー層の一部が「予算アウト」して、さらに外側のエリアへ脱出し始めているという兆候です。
街のブランド力が高いからこそ、住むためのハードルも高くなっている、ジレンマの時期と言えるかもしれませんね。
【練馬区】都心高騰の「頼もしい受け皿」として再評価
そんな中野や杉並の動きを受けて、いま改めて存在感を放っているのが練馬区です。
都心や中野・杉並が高くなりすぎた結果、「身の丈(予算)の選択」を迫られたファミリー層が、アクセスが良く住環境も優れた練馬区を「本命の受け皿」として選ぶ動きが活発になっています。この実需の強さが支えとなり、今回の路線価でも練馬エリアは非常に堅実で頼もしい上昇基調を維持しています。噂やブランドイメージだけでなく、実際の「人の流れ」が地価をしっかりと底上げしている、とても健康的な状態だと言えますね。
「旧3学区」と一括りにされがちですが、数字を掛け合わせるだけでこんなにも違ったリアルなドラマが見えてきます。
【中野】:再開発の地価上昇の裏で、一時的な過渡期として人が入れ替わっている
【杉並】:高価格化により、ファミリー層の「予算アウト」による入れ替わりが起きている
【練馬】:都心高騰の受け皿として実人口を伸ばし、地価もきわめて堅調に推移している
分析元データ:国税庁「令和8年分 財産評価基準書」・東京都総務局統計部「住民基本台帳人口移動報告(2026年6月)」
次回(第2回)は、この中でも特に変化の激しい「中野の再開発と押し出しサバイバルの実態」について、さらにディープに迫ってみたいと思います。
ご自身の所有されている土地の「本当の価値」や「これからの賃貸需要」が気になったオーナー様は、いつでもお気軽に声をかけてくださいね。一緒に数字の裏側を読み解いていきましょう!
中野・杉並・練馬エリア地価・人口動態データボード
メディアが報じる「金額そのものの高さ」だけでなく、「変動率(街の躍動感)」と「リアルタイムの人口動態」を掛け合わせることで、各エリアで起きている真の構造変化が浮き彫りになります。
1. 令和8年分 最高路線価(東京国税局各税務署管内)
| 地域 | 税務署名 | 最高路線価の所在地 | R8年分 (千円/㎡) | R7年分 (千円/㎡) | R8変動率 (%) | R7変動率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 旧3学区 | 中野 | 中野区中野5丁目 中野駅北口駅前広場前 | 8,400 | 6,860 | +22.4 | +24.7 |
| 杉並 | 杉並区高円寺北3丁目 高円寺駅北口商店街通り | 3,510 | 2,930 | +19.8 | +20.1 | |
| 荻窪 | 杉並区上荻1丁目 青梅街道 | 4,860 | 4,060 | +19.7 | +21.6 | |
| 練馬東 | 練馬区豊玉北5丁目 千川通り | 1,780 | 1,620 | +9.9 | +10.2 | |
| 練馬西 | 練馬区東大泉1丁目 大泉学園駅北口駅前通り | 1,350 | 1,220 | +10.7 | +8.9 |
2. 令和8年 地価公示 変動率推移
| 市区町村 | 住宅地 | 商業地 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| R7変動率(%) | R8変動率(%) | 地点数 | R7変動率(%) | R8変動率(%) | 地点数 | |
| 都区部平均 | +7.9 | +9.0 | 846 | +11.8 | +13.8 | 662 |
| 中野区 | +8.9 | +9.0 | 26 | +16.3 | +17.5 | 24 |
| 杉並区 | +7.9 | +8.2 | 60 | +15.1 | +17.5 | 24 |
| 練馬区 | +5.3 | +6.2 | 88 | +7.7 | +8.9 | 18 |
3. 住民基本台帳による人口動態(令和8年6月1日現在・直近1ヶ月の動き)
| 地域 | 人口総数 (人) | 前月人口総数との増減 (人) | 専門的見地による分析の視点 |
|---|---|---|---|
| 区部全体 | 9,840,589 | ▲1,417 | 都心高騰による広域的な郊外分散トレンドが継続。 |
| 中野区 | 345,178 | ▲254 | 地価高騰に伴う「価格の天井」により、一時的な周辺への押し出し圧力が観測。 |
| 杉並区 | 585,730 | ▲95 | 中野のエネルギーの受け皿(高円寺・荻窪)。減少幅は区部平均に比して軽微。 |
| 練馬区 | 752,789 | ▲100 | 根強い実需の強さ。電動自転車等の普及による生活圏融合が人口維持を支える。 |
