
前回のコラムでは、芋ジャージで原宿を駆け抜けた私の黒歴史から、街が持つ「ドレスコード」の見えない価値についてお話ししました。
今回は、夏休みも間近ということで、いまや練馬区が世界に誇る一大スポットとなった「ハリー・ポッター(ワーナー ブラザース スタジオツアー東京)」の舞台、あの大切な土地の記憶と、我が家のポストに届いたある「魔法のチラシ」のお話をしたいと思います。
練馬区民の人生の背景には、いつも「としまえん」があった
2020年8月、94年もの歴史に幕を閉じた「としまえん」。
生粋の練馬区民にとって、この場所は単なる遊園地ではありませんでした。
なんと言っても練馬区の成人式会場でしたから、区民にとっては人生の大きな節目を迎える縁の深ーい場所です。
それに、わざわざ遊びに行かなくても、夏の毎週土曜日には当たり前のように夜空に花火が上がり、それを自宅から眺めるのがお決まりの風景でした。
近隣に住んでいると、なぜか定期的に「入場券と乗り物券の綴り」をもらえる機会があり、区民なら誰もが何かしらのとしまえんの思い出を胸に持っているはずです。
かく言う私にとっても、としまえんは初めてアルバイトをした忘れられない場所です。
ただ、当時の経営はなかなかにアバウトでした(幕を閉じた今だからこそ言えますが……!)。
「雨が降ったらアルバイトは即、家に返される」という理不尽さがある反面、いざ出勤できれば「30分チケットをもぎったら、次の30分は休憩する」という、昭和から平成初期ならではの信じられないほどの甘さとのどかさ。
あの愛すべきアバウトな空気感が、今となってはとても懐かしく思い出されます。
どこか遠かった魔法の世界が、練馬区民に歩み寄った日
そんな思い出の場所が経営難を経て閉園し、世界的な「ハリー・ポッター」の施設へと生まれ変わりました。
世界中からファンが訪れる巨大なエンタメ空間になったことは、もちろん素晴らしいことです。
けれど本音を言えば、私たち地元民にとっては「なんだか遠い世界の話のようだな」「あまり縁のない施設になっちゃったな」というのが、これまでの正直な空気感だったのではないでしょうか。
ところが、そんな少し距離のあった空気を一変させる出来事がありました。
先日、我が家のポストに1枚のチラシがポスティングされていたのです。
そこには、なんと「練馬区民特別」の文字が躍っていました。
この7月から8月の夏休み期間、大人1名につき子どもが1名無料になり、しかも大人の料金自体も練馬区民特別価格になるという、まさに地元密着の嬉しい案内でした。
これを見た瞬間、私は思わず「そうそう、これだよ!」と嬉しくなってしまいました。
どんなに世界的な施設であっても、やっぱり「としまえん」がそうだったように、地元民と関わり合い、地域に愛される努力をしてこそ、本当の意味で街に根づき、発展していくものなのだと、チラシを握りしめながら深く実感したのです。
ハリー・ポッターのこの新しい歩み寄りを、地元の人間としてぜひ応援したいなと思っています。

街の発展も、私たちの鑑定事務所も、根っこは同じ
不動産や街の再開発の世界を見ていると、どれほど立派な建物や最新の施設ができても、そこに暮らす地域住民の皆さんの笑顔や信頼と「関わり合うこと」がなければ、土地に本当の価値は生まれないのだとつくづく感じます。
それは、私たちが従事している「むかえ不動産鑑定事務所」も全く同じです。
どんなに確かな技術や専門知識(鑑定)を持っていても、地元の皆さんに信頼され、寄り添って本音で関わり合えなければ、この街の役には立てません。
だからこそ私たちは、「強引な営業は100%なし」の安心できる窓口でありたいと思っています。
魔法のチラシがくれた地元愛のバトン。
ハリー・ポッターの新しい試みにワクワクしながら、私たちもより一層、この大好きな地域に密着して歩んでまいります。

(次回は、行政区画を超えたリアルな生活圏のお話、『地域のインフラと越境:練馬区民が阿佐ヶ谷の最新病棟へ!』をお届けします。お楽しみに!)

とん助手 (とんじょしゅ)
練馬育ち | 宅地建物取引士
練馬で育ち、この街の変遷や歴史(地歴)を肌で感じながら育った宅地建物取引士。「誰もが売り込まれずに、安心して本音を話せる場所を作りたい!」という自身の経験から生まれた強い想いで、皆様の相談窓口を担当しています。
地元の細かな道から学区のブランド価値まで知り尽くす生粋の練馬っ子ならではの視点で、難しい書類や手続きも優しくナビゲート。
ブログでは、地元の愛おしい記憶を言葉に紡いでいます。
表面的なトレンドやうわべのイメージに惑わされず、その土地が持つ「本当の価値」を誠実に見極めること。
それは私たちのエッセイにも、不動産鑑定のプロとしての仕事にも共通する大切なプライドです。
