新型コロナウイルスの影響を受けた令和2年東京都基準地価格に注目
令和2年東京都基準地価格は、区部でプラスを維持したものの上昇幅は縮小に
今年9月30日に東京都より「令和2年 東京都基準地価格」が発表されました。
今回発表されたのは2020年7月1日時点の地価調査の結果です。
3月に発表された地価公示が、1月1日時点の調査結果で、新型コロナウイルスの影響を受ける前のデータであるのに対して、今回の調査は新型コロナウイルスの影響のある令和2年1月以降も対象になっていることから、注目を集めています。
では、調査結果をみていきましょう。
むかえ
助手・とん
現在の景況感はどうなのか、むかえさん、お願いします。
令和2年3月に「厳しい状況にある」とされ、平成30年1月から続けていた「緩やかに回復している」から下方修正されています。
4月には「急速に悪化」と10年11か月ぶりに「悪化」と表現されてしまいました。
その後、6月には「下げ止まりつつある」、7・8・9月には「持ち直しの動きがみられる」
対前年平均変動率は8年連続でプラスを維持。
ただし、区部と多摩地区の差が鮮明に。
東京都全域で調査結果をみた場合、住宅地、商業地、工業地で対前年平均変動率(以下、変動率)は、8年連続でプラスを維持しましたが、上昇幅は縮小しました。
ただ、区部と多摩地区では明暗が分かれています。
区部は、画地規模が大きい地域や交通利便性に劣る地域等では、地価下落地点も現れているものの、区部全体としてはプラス。
これに対して、多摩地区では、地価下落地点が大幅に増加。
斜面造成地や駅からの距離が遠い地域、人口減・高齢化が進む地域を中心に下落幅が大きい地点がありました。
下の図をご覧ください。
上が住宅地の平均変動率、下が商業地の平均変動率です。
参考:東京都財務局「令和2年東京都基準地価格」の全体版(PDF)」より 2020.10.03確認 https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/kijunchi/R2nen/index.html
このマップをご覧いただくと、左側の多摩地区がグレーに塗りつぶされていることがわかります。
グレーは、平均変動率が「0.0%未満」ですので、下落しているということ。
対して、区部でグレーに塗りつぶされているところはありません。
区部全域の変動率を下回った練馬区
次に、23区各区で結果をみると、全域の変動率は、1.4%です。
23区のうち練馬・大田・台東・葛飾区を除く19区の平均変動率は、1.0%以上3.0%未満。
では、せっかくですので、むかえ不動産鑑定事務所のある練馬区にフォーカスしてみましょう。
練馬区の変動率は0.65%で、区部では最も低い数値になってしまいました。
練馬区価格一覧は下記の通りです。
参考:東京都財務局「令和2年東京都基準地価格」基準地価格一覧(林地を除く)」より 2020.10.03確認 https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/kijunchi/R2nen/index.html
練馬区内49ポイント中、上昇したのは35、下落は8、横ばいが4、選定替えのため変動率なしが2ポイントでした。
また、下落したポイントをみると、共通するのは最寄駅から1.2km以上で利便性に欠けている点。
この点は練馬区に限らず、区部の全体としても同じでした。
新型コロナウイルスの影響も受けた期間の調査ということで、注目されていましたけれど、蓋を開けてみれば、年間での上昇傾向は変わらず、その幅が縮小したというものでした。
地価調査は、昨年7月から今年前半までの変動率なのに対して、
まあ、新型コロナウイルスの影響は、今年3月以降だったから……。
新型コロナウイルスの影響を知るうえでは、令和3年3月に発表される地価公示の結果をしっかりみたいかな。