
前回のコラムでは、西友の1階と2階をめぐる「サンリオ vs 無印良品」の甘酸っぱい思い出をお届けしました。今回は舞台を三原台2丁目へ。昭和のハイカラ施設「ドミンゴショッピングセンター」でのわが家の衝撃事件と、父の愛おしいルーティーン、そして跡地に建ったヒミコマンションの思い出をお届けします。
🏗️ デンジマンも日常風景? 昭和のハイカラ「ドミンゴ」
昔々、練馬区三原台2丁目の関越道高架脇に「ドミンゴショッピングセンター」というローカル施設がありました。
実はここ、1980年放送の『電子戦隊デンジマン』のロケ地! …と言っても、東映東京撮影所がお隣のエリアにある三原台キッズにとっては、ドラマのロケも、軽トラの荷台でドナドナされていく特撮の巨大メカも、すっかり見慣れた「いつもの日常風景」。自分の小学校も含めて街中がロケ現場みたいなものでしたから、デンジマシーンがドミンゴの階段脇を駆け抜けていても、「あ、今日も東映さんが撮ってるな〜」くらいの通な感覚だったのかもしれません(笑)。
そんなドミンゴの中に入っていたのが、あの日比谷松本楼の支店や、地元の本屋さんでした。
🍲 松本楼のハイチェアー転落事件と、父の密かなルーティーン
ドミンゴの松本楼といえば、わが家にとっても「ちょっと特別な日のご馳走」を食べる思い出の洋食レストランでした。……が! 私にはここで忘れられない大惨事の記憶(?)があります。
幼少期、松本楼で子ども用の背の高い補助いす(ハイチェアー)に座らせてもらっていた私。何をどう張り切ったのか、その高所から派手に転落して頭を強打! 大騒ぎの末にそのまま病院へ緊急搬送されるという、爆笑(当時は必死)エピソードを残しています。「うちの子、この衝撃でちょっとバカボンになっちゃったんじゃないかしら…」と母が本気で心配したとかしないとか(笑)。
そしてもう一つ、ドミンゴの思い出で欠かせないのが「本屋さん」です。
当時、少年漫画の連載を持っていた父。自分の描いた漫画が載った雑誌の発売日になると、ドミンゴの本屋さんへ足を運び、棚に並んだその雑誌を自分で『平積み(一番目立つように表紙を見せて置く)』にするのが毎週のルーティーンでした。クリエイターとしての父の情熱と愛嬌が詰まった、昭和の三原台のなんとも愛おしい日常の一コマです。
🏢 転校生でザワついた「ヒミコマンション」という黒船
そんな家族の思い出が詰まったドミンゴも時代の波の中で姿を消し、1982年(昭和57年)にはその跡地に地上6階建ての「石神井公園ヒミコマンション」がどどーんと誕生しました。
一戸建てや低層住宅がメインだった当時の三原台にとって、6階建てのモダンなマンションはまさに「黒船」。 小学生のあいだでは「今度やってきた転校生、あのヒミコマンションに住んでいるらしいぞ…」と噂になり、クラス中が大事件扱いでザワついたのを今でも鮮明に覚えています(笑)。
デンジマンが駆け抜けたドミンゴから、噂の的だったヒミコマンションへ。建築が新しく変わっていくスピード感とともに、「昭和の三原台」がどんどんアップデートされていくワクワク感を肌で感じた瞬間でした。
ハードウェアの更新と、その土地に蓄積される「記憶のコンテキスト」
デンジマンのロケ地であり、わが家の家族の思い出が詰まったドミンゴから、1982年築のヒミコマンションへ——。三原台2丁目のあの敷地は、時代に合わせて建物という「ハードウェア」を更新しながら、街の形態を変容させてきました。
不動産の価値分析において、建築物の老朽化や建て替えといった都市の代謝過程を捉えることは基本的なアプローチです。しかし、物理的な構造物が建て替わっても、「松本楼で転がり落ちた幼少期の記憶」や「父が漫画誌を平積みにしていた情景」、「新しいマンションの誕生で湧き立った地域の空気感」といった人間の活動履歴(ソフト)は、その「場所(土地)」に固有の文脈として残存し続けます。
単なる築年数や坪単価といったスペック上の比較にとどまらず、その敷地がどのような変化を辿り、そこにどんな人の営みや時間が重なってきたのか——。そんな目に見えない「街と土地の文脈(地歴)」にも丁寧に耳を澄ませながら、一つひとつの不動産の価値に向き合っていきたいと考えています。
【当コラムについて】
本連載「とん助手ジャーナル(MEMORY JOURNAL)」は、むかえ不動産鑑定事務所(執筆:とん助手)独自の企画・著作物です。
練馬区および西武沿線エリアの地歴・地域カルチャーと、不動産鑑定の評価姿勢を温かみのあるエッセイとして届けるオリジナルコンテンツです。
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とん助手 (とんじょしゅ)
練馬育ち | 宅地建物取引士
練馬で育ち、この街の変遷や歴史(地歴)を肌で感じながら育った宅地建物取引士。「誰もが売り込まれずに、安心して本音を話せる場所を作りたい!」という自身の経験から生まれた強い想いで、皆様の相談窓口を担当しています。地元の細かな道から学区のブランド価値まで知り尽くす生粋の練馬っ子ならではの視点で、難しい書類や手続きも優しくナビゲート。ブログでは、地元の愛おしい記憶を言葉に紡いでいます。
思い入れや思い出が詰まった大切な土地・お住まい、
その“本当の価値”を見つめ直してみませんか?
不動産の価値は、単なる利便性や築年数といったスペックだけで決まるものではありません。
時代とともに変化する街の文脈や、住まう人が重ねてきた時間・愛着こそが、本質的な価値の土台となります。
むかえ不動産鑑定事務所では、数値上の相場比較にとどまらず、街の歴史や暮らしの温もりに寄り添う視点から、あなたの大切な資産の「真の姿」を丁寧に解き明かします。相続・資産見直し・素朴な疑問まで、どうぞお気軽にご相談ください。


